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 吉村昭は、藤沢周平と城山三郎とともに私の好きな現代作家です。いずれも1927(昭和2)年生まれというのは偶然ですが、共通するのは、激動の昭和を生き、藤沢と城山は軍国少年から平和主義者へ身をもって生と死を見つめ、吉村は自ら、過酷な病魔から生還した、命を見つめる人生であったこと、そういう苦難の時代を知らない、しかし貧窮の戦後を知る私が、彼らに共感し敬愛するところとなったということです。
 さて、その吉村の遺作となった短編『死顔』を読んで、私は幾つかの感慨を抱くことになりました。この作品は小説というより自伝的なエッセイふうの、淡々と綴られる文章でした。高齢の兄の病の床に寄り添いながらも深入りせず、後日訃報があっても「そうか、死んだか」とだけ言い、葬儀では死人の顔を見ようとはしない。彼自らの体験から、「(死者は)病み衰えていて、それを眼にすのは礼を失している」「死は安息の刻であり、それを少しも乱されたくはない(にちがいない)」という考えがあったからです。
 私が身近な死者を見た最初は、祖父が病院で死に、なぜか若い叔母と幼い私が祖父をリヤカー(だと思う)に乗せて自宅へ向かう時でした。そのとき覗いた祖父の顔が骸骨のように窪んでいたのを覚えています。
 今年の夏、親友の死の床で見た顔は、今まで慣れ親しんできた彼とは思えない異質なものでした。しかし、彼が死んだということは、彼が生きたということなのだと思い直しました。

 淡々と綴られた「死顔」の中で、唯一抒情的な描写がありました。父親が死んだときに「川があたかも激流のように、こまかい波を立てて、流れ下っているのを見た」というものです。人にはそれぞれの激流があっても、その果てにあるのが、安らかな穏やかな川面であるような気がするのです。(了)

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投稿日: 2017/10/30 05:06  
 Re: 20 『死顔』について(死生観)
今、激流を体験する機会を損っていると思います
逃れようのない、理不尽な病気
なのにその記憶を思い起こし
残された記録
学びたいです

投稿日: 2017/10/30 09:48  
 Re: 20 『死顔』について(死生観)
蛍野光さん、お久しぶり。

台風は大丈夫でしたか?

最近、孫ができました。命を見る思いです。

あなたのご健康をお祈りします。

投稿日: 2017/10/31 01:06  
 Re: 20 『死顔』について(死生観)
ご心配ありがとうございます
私の地区はさほど影響も無かったです
お孫さんが誕生されたとの事
心からおめでとうございます
お孫さんの成長が楽しみになりますね
御多幸のほどお祈り申し上げます。

投稿日: 2017/11/11 19:07  
 Re: 20 『死顔』について(死生観)
右近さん、こんにちは。
私も昨年親しい友人を突然なくしました。
彼女は花に埋もれぞっとするほど美しく眠っているようでした。
今でも思い出すと泣いてしまいます。
人混みで彼女に似た人を見かけると、思わず目で追ってしまいます。

亡くなっても私の中には生きていて、私の命があるかぎり愛し続けていくのだと思います。

投稿日: 2017/11/19 16:37  
 Re: はせひろさん
お返事遅れました。

あなたのお友達といえばまだお若いのに、さぞご無念だったでしょうね。
私も、夢に出てくるほどの友人でしたから、悲しかったです。

このごろ若い人の自殺が多いのが、信じられません。

9月に孫が生まれて、まさに「命」を見る思いでした。
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